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投資用ワンルームは「買わない方がよい」「やめとけ」と言われる理由
「ワンルーム投資はやめとけ」「投資用ワンルームは買わない方がよい」――投資を検討して調べはじめると、こうした声によく行き当たります。一方で、勧めてくる業者は「節税になる」「年金代わりになる」と言います。どちらが本当なのか、判断に迷っている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、投資用ワンルームが「買わない方がよい」と言われる理由を、感情論ではなく仕組みの面から解説します。価格・収支・出口・税金・出会い方という5つの観点で、なぜ評判が分かれるのか、どこに仕組み上の問題があるのかを順に見ていきます。
なお、ここで挙げる数字はいずれも目安です。立地・築年数・購入条件によって大きく変わるため、「桁と方向を確かめるための例示」としてお読みください。
今の査定額を確認する →1. 物件価格に業者の利益が乗っている
最初の問題は、購入する時点で価格に業者の利益が上乗せされている点です。
投資用ワンルームの価格は、家賃から逆算して決まります。物件が生む年間の収益を「利回り」で割り戻して価格を出す、収益還元法という考え方です。同じ家賃でも、適用する利回りが低いほど算出される価格は高くなります。
転売を専業とする業者は、個人投資家から物件を仕入れ、別の個人投資家へ売ります。このとき、仕入れるときには高めの利回りを当てて安く買い、売るときには低めの利回りを当てて高く売ります。この利回りの差から生まれる価格差が、そのまま業者の利益になります。
月家賃10万円程度のワンルームで試算すると、この利益は数百万円規模になることがあります(目安・立地で変動)。つまり、新築や中古のワンルームを業者から買った時点で、相場より数百万円高い値段で買っている可能性があるということです。価格に利益が乗る仕組みの詳細は「ワンルーム買取はなぜ安い?業者の利益の仕組み」で解説しています。
「節税」「年金代わり」というトークの問題
価格に利益が乗っていても、それを上回るリターンがあれば投資として成立します。問題は、勧誘時に語られる「節税」「年金代わり」が、この上乗せ分を意識させない形で語られがちな点です。
毎月の収支がわずかにプラスで、確定申告で税金が戻ってくると、買った人は「いい買い物をした」と感じます。しかし、その感覚は価格に乗った利益とは別の話です。価格の上乗せ分は、保有中の小さなプラスでは取り返しにくい規模になりがちで、これが「買わない方がよい」と言われる土台になっています。
2. 月のプラスは突発修繕や退去費で簡単に飛ぶ
「毎月◯千円のプラスで35年回せます」――勧誘時の収支シミュレーションは、こうした前提で語られることがよくあります。ここには、実際に起こる出費が織り込まれていないことが多いという問題があります。
突発修繕は1回で月々のプラスを上回る
設備は経年で壊れます。たとえばエアコンの交換で10万円前後、給湯器であればさらに大きな出費になります。月数千円のプラスは、こうした修繕が1回出ただけで、その年は赤字に転落します。築年数が経つほど、エアコン・給湯器・内装などの劣化リスクは上がっていきます。
退去のたびにかかる費用も見落とされやすい
入居者が退去すると、次の出費が発生します。
- 原状回復費:クリーニングや経年劣化を超える補修で、貸主負担分が数万〜十数万円程度
- 客付けの広告費:次の入居者を見つけるために仲介へ払う費用で、家賃の1〜2ヶ月分が目安
- 空室期間の家賃ロス:数週間〜数ヶ月
ワンルームの入居期間は平均して約3年で、退去1回あたりで十数万〜数十万円の出費になりえます。毎月の手出しよりも、この退去まわりの費用の方が現実には大きな負担になりやすいところです。
維持費は上がり、家賃は下がる傾向
保有を続けると、月々の収支はじわじわ悪化していきます。主な要因は3つです。
- 修繕積立金・管理費の値上がり:築15年、25年、35年といったタイミングで段階的に上がるのが通常です
- 家賃の下落:築古になるほど客付けが難しくなり、周辺相場に合わせて家賃を下げざるをえない場面が出てきます
- 室内修繕費の増加:給湯器・エアコン・内装など、設備更新の頻度が上がります
これらが重なると、買った当初のわずかなプラスは、保有期間が延びるほど縮み、やがてマイナスに転じることがあります。塩漬けの物件を持ち続けた場合の総コストを試算した「塩漬けワンルームを持ち続けた場合の総コスト」もあわせて参考にしてください。
無料で買取査定を依頼する →3. 出口が乏しい(買い手がほぼ業者)
投資はいつか出口(売却)を迎えます。ワンルーム投資が難しいと言われる大きな理由が、この出口の乏しさです。
買主は仲介に出しても買取に出しても業者
投資用ワンルームを売りに出すと、自分で住むための個人がエンドの買主になることはあまりありません。実態としては、仲介に出しても買取に出しても、最終的な買主は転売を専業とする業者になるのが現実です。
ここが実需向けの住宅と異なる点です。居住用のマンションや戸建てなら、自分で住みたい個人が買主になり、その人が「住む価値」に対してお金を払います。ワンルームは住む人ではなく次に転売したい業者が買主になるため、業者の仕入れ価格でしか売れません。
その結果、ワンルームでは仲介でも買取でも査定額そのものはあまり変わらず、違うのは仲介手数料が乗るかどうかという点になりがちです。この仕組みは「仲介と買取の違いとは」で詳しく解説しています。
相場が上がってもワンルームは取り残されやすい
近年、不動産価格の上昇がよく話題になります。ただ、値上がりしているのは駅近・大規模マンション・タワーマンション・都心のファミリータイプなど特定のカテゴリで、投資用ワンルームはここから外れていることが多いところです。「同じ東京の不動産」でも、市場は分かれていると考えた方が実態に近いです。
「待てば残債が減る」は思ったほど効きにくい
「あと数年持てばローン残債が減って、手出しなしで売れるかもしれない」と考える方は少なくありません。しかし、残債が元利均等で少しずつ減るスピードよりも、査定額が築年数や市況で下がるスピードの方が速いことが多く、待つほど必要な手出し額が増えていく、というのが平均的な現実です。出口が乏しいことと、待っても状況が改善しにくいことが重なって、ワンルームは「売るに売れない」状態に陥りやすくなります。
4. 節税による還付は「繰り延べ」に過ぎない
勧誘トークの定番が「ワンルームを持てば減価償却で節税できる」というものです。実際に確定申告をすると税金が戻ってくるので、節税になっていると感じる方も多いはずです。ただ、その中身を見ると、純粋な節税分は限られています。
還付の主役である減価償却は税金の先送り
減価償却は、物件の取得費を毎年少しずつ経費に計上する仕組みです。これによって不動産所得が会計上の赤字になり、給与所得と損益通算することで、源泉徴収された税金の一部が戻ってきます。
問題は、減価償却で経費にした分だけ、売却時の取得費(簿価)が下がる点です。譲渡所得は「売却価格 − 取得費」で計算されるため、取得費が下がっていれば、その分だけ売却時の譲渡益が大きく計算されます。つまり、保有中に戻ってきた税金の多くは、売却時に譲渡所得税として戻ってくる性格のものです。「節税」というより「払う時期を後ろにずらした」=繰り延べに近い、ということです。この構図は「減価償却は『節税』ではなく税金の繰り延べ」で詳しく解説しています。
純粋な節税分は限定的
家事按分による経費算入など、純粋な節税分もありますが、金額の規模は限られます(年数万〜十数万円程度が目安)。第1章で触れた価格の上乗せ分と比べると小さく、節税効果だけで購入を正当化するのは難しいところです。
なお、保有中は不動産所得の赤字を給与と通算できても、売却で損が出たときの譲渡損失は給与所得とは通算できません。「保有中は通算できたのに、出口では通算できない」という扱いの違いは「売却損は給与と損益通算できる?」で解説しています。投資用ワンルームの多くは売却損になりやすく、その場合は譲渡所得税がそもそもかからないため、短期・長期の税率差を気にする意味も小さくなります。
5. 出会い方そのものに仕組み上の問題がある
価格・収支・出口・税金に加えて、「そもそもどう出会って買うことになったか」という入口にも問題があります。買った人が「自分の判断で買った」と思い込みやすい点が、この問題を見えにくくしています。
営業電話や勧誘から入るケース
突然の営業電話、職場への勧誘、あるいは知人を介した紹介など、自分から探したわけではない経路で投資が持ち込まれることがあります。希少性を演出する「抽選で当選した物件」といった見せ方も、判断を急がせる方向に働きます。こうした入口では、価格が適正かどうかを冷静に検証する時間が取りにくくなります。
インフルエンサーの発信を真似て買うケース
近年増えているのが、投資系・FIRE系のインフルエンサーの発信を見て「自分も」と買うパターンです。発信者自身がワンルームを保有していると公言していると、信頼して真似したくなります。ここには2つの見落としがあります。
ひとつは属性の違いです。こうした発信者には、本業で大きな収益を得ている層が含まれます。資産に余裕のある人がポートフォリオの一部として持つのと、資産が十分でない会社員が手を出すのとでは、同じ商品でも意味合いが変わります。
もうひとつは、紹介の背後にある報酬です。業界の慣行として、投資用ワンルームを紹介すると、業者から1件あたり10万円前後の紹介料(成果報酬)が発生することがあります。無償の親切な情報発信に見えても、収益化された発信である場合があるということです。「発信者も持っているから安心」という理由づけが、必ずしも読者の利益と一致しないのはこのためです。
無料で買取査定を依頼する →6. すでに持っている人が取れる選択肢
ここまで「買わない方がよい」と言われる理由を見てきましたが、すでに保有している方にとっては「では今どうするか」の方が切実なはずです。最後に、現状から取れる選択肢を整理します。
なお、買って必ず失敗するという話ではありません。購入の時期や立地によっては結果的にプラスで手放せたケースもあります。ただ、それは条件に恵まれた場合で、一般的に勧められる投資とは言いにくい、というのがここまでの整理です。
まずは現状を数字で把握する
判断の出発点は、感覚ではなく数字で現状を知ることです。具体的には次の2つを把握します。
| 確認する項目 | 把握する内容 |
|---|---|
| ローン残債 | 今いくら残っているか(返済予定表や金融機関の残高証明で確認) |
| 現在の査定額 | 今売るといくらになるか(複数の業者から査定を取る) |
残債と査定額を並べると、自分が「アンダーローン(売却額で残債を返せて手元に資金が残る)」なのか「オーバーローン(残債の方が大きく手出しが必要)」なのかがわかります。ここがわからないまま「持ち続けるか売るか」を考えても、判断材料が足りません。
査定は複数の業者から取る
第1章で見たとおり、ワンルームの価格は業者の利益が乗ることで決まります。裏を返せば、複数の業者に同じ物件を査定させて競わせると、その利益の一部を売主側に取り戻せます。1社だけの提示額が高いか低いかは、他社の数字を並べてみないと判断できません。
手出しが必要でも早めの損切りがおすすめ
売却額より残債が大きいオーバーローンの場合、差額を埋める手出しが必要になります。手出しを嫌って保有を続ける方は多いのですが、第2章・第3章で見たとおり、保有を続けるほど収支は悪化し、査定額も下がりやすくなります。そのため、結果的には早めに手出しで損切りした方が、長期的な負担は小さくなることが多いです。手出し売却の考え方や資金の作り方は「手出し売却の完全ガイド」で解説しています。
よくある質問
- Q.ワンルーム投資は本当に全員が損するのですか?
- A.必ず損するわけではありません。購入時期や立地に恵まれれば、結果的にプラスで売却できたケースもあります。ただ、購入時点で価格に業者の利益が乗りやすく、突発修繕や退去費で月々のプラスが消えやすく、出口では買主がほぼ業者になりやすい、という不利な条件が重なります。一般的に勧められる投資とは言いにくい、というのがこの記事の整理です。
- Q.「節税になる」と言われて買いました。これは間違いだったのでしょうか?
- A.節税効果がまったくないわけではありませんが、その多くは減価償却による「税金の繰り延べ」です。保有中に戻った税金の大部分は、売却時に取得費が下がることで譲渡所得税として戻ってきます。家事按分などの純粋な節税分は限定的で、価格に乗った利益を取り返すほどの規模にはなりにくいのが実態です。
- Q.すでにワンルームを持っています。今すぐ売るべきですか?
- A.まずは現状を数字で把握することが先です。ローン残債と現在の査定額を確認し、アンダーローンかオーバーローンかを知ったうえで判断します。一般論としては、保有を続けるほど収支は悪化し査定額も下がりやすいため、早めに動いた方が負担は小さくなることが多いです。ただし最終的な判断は、残債・手出し額・ご自身の資金状況によります。
- Q.仲介で売れば個人の買い手が高く買ってくれませんか?
- A.投資用ワンルームでは、自分で住むための個人が買主になることはあまりありません。仲介に出しても買取に出しても、最終的な買主は転売業者になりやすく、査定額そのものは大きく変わらない傾向があります。違いは主に仲介手数料が乗るかどうかで、その分は買取に直接持ち込んだ方が手元に残りやすくなります。
- Q.相場が上がっているので、待てば高く売れますか?
- A.値上がりしているのは駅近・タワーマンション・都心のファミリータイプなど特定のカテゴリで、投資用ワンルームはここから外れていることが多いです。また、残債が減るスピードより査定額が下がるスピードの方が速いことが多く、待つほど必要な手出し額が増える傾向があります。「待てば改善する」とは言いにくいところです。
まとめ
投資用ワンルームが「買わない方がよい」「やめとけ」と言われる理由を、仕組みの面から解説しました。要点は次のとおりです。
- 購入時点で価格に業者の利益が乗りやすく、相場より高く買っている可能性がある
- 月々のわずかなプラスは、突発修繕や退去費、維持費の上昇で消えやすい
- 出口では買主がほぼ業者になりやすく、相場上昇の恩恵も受けにくい
- 節税による還付の多くは「繰り延べ」で、純粋な節税分は限定的
- 営業勧誘やインフルエンサー紹介など、出会い方そのものに見えにくい問題がある
すでに保有している方にとって大事なのは、評判の良し悪しよりも「今の自分の数字」です。ローン残債と現在の査定額を把握すれば、持ち続けるべきか手放すべきかを、感覚ではなく数字で判断できます。まずは買取限定の一括査定で複数の業者から査定を取り、現状を確かめるところから始めてみてください。
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