投資用ワンルーム買取一括査定

ローン・残債

月々の手出しが続く塩漬けワンルームを持ち続けた場合の総コストを試算

著:投資用ワンルーム買取一括査定 編集部

「毎月いくらか手出しはあるけれど、いつか良くなるかもしれないから、もう少し持っておこう」――投資用ワンルームを売るに売れず、月々の手出しを払いながら持ち続けている方は少なくありません。

このページでは、手出しが続く塩漬けの投資用ワンルームを持ち続けた場合に総コストがどのくらいになるのかを、架空の物件モデルで試算しながら解説します。「待てば損が縮むのか、それとも待つほど負担が増えるのか」を、感覚ではなく数字で見るための材料をお示しします。

なお、この記事で使う数字はあくまで一例です。物件の立地・築年数・購入条件・残債の状況で大きく変わるため、断定的な損失予測ではなく「桁と方向を確かめるための例示」としてお読みください。

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この記事で使う架空モデルの前提

試算の前に、土台になる物件の前提を先に開示しておきます。下記は実在の物件ではなく、都内の中古ワンルームを想定した一般的な仮定値です。

  • 物件:都内の中古ワンルーム
  • ローン残債:約 2,200 万円
  • 買取査定額:約 2,000 万円 → 残債が査定額を上回るオーバーローン(売るには差額約 200 万円の手出しが必要)
  • 月の家賃:約 8.5 万円
  • 月の手出し:約 1.5 万円(ローン返済+管理費+修繕積立金+管理委託費を家賃で引いた不足分)= 年 約 18 万円
  • 想定利回り:6%(査定額を家賃から逆算する際に使用)

「残債 > 売却価格」のこの状態は、不動産ではオーバーローンと呼ばれます。逆に売却で手元に資金が残る状態はアンダーローンです。本記事は、オーバーローンで月々の手出しを払い続けている「塩漬け」の方を想定しています。手出し売却そのものの仕組みは手出し売却の完全ガイドで詳しく扱っています。

この前提をもとに、まず「待てば良くなるのか」という期待から検証していきます。

塩漬けは「待てば良くなる」のか

持ち続ける判断の根っこには、たいてい次のような期待があります。

  • 持っていればローン残債が減るので、いずれ手出しゼロで売れるのではないか
  • 最近は不動産価格が上がっているので、自分の物件も値上がりしているのではないか
  • 景気が良くなれば査定額も戻るのではないか

これらの期待が成り立つかどうかで、待つ意味は大きく変わります。順番に見ていきます。

「ローンが減れば手出しゼロになる」は成立しにくい

投資用ワンルームの多くは、元利均等返済という方式で借り入れています。この方式は返済初期ほど利息部分が大きく、残債の減りが緩やかという性質があります。

たとえば借入 2,400 万円・金利 2%・35 年返済の場合、残債は次のように減っていきます。

  • 5 年返済後:約 2,160 万円(約 240 万円減)
  • 10 年返済後:約 1,900 万円(約 500 万円減)

一方で、ワンルームの査定額は築年数の経過で下がっていきます。問題は、残債が減るスピードよりも査定額が下がるスピードの方が速いケースが多い点です。そうなると、待っているあいだに残債と査定額のギャップ(=必要な手出し額)はむしろ広がっていきます。

「あと 5 年で手出しゼロで売れる」という期待は、平均的にはあまり当たりません。逆に「あと 5 年持つほど、必要な手出し額が増えている」のが現実に近いことがあります。

「不動産が値上がりしている」はワンルームには当てはまりにくい

ここ数年の不動産価格上昇は事実ですが、上がっているカテゴリと、投資用ワンルームの市場は分かれています。

値上がりしやすいカテゴリ投資用ワンルームの典型
駅近(駅徒歩5分以内)駅徒歩7〜15分の周辺立地
大規模マンション(100戸超)中小規模のワンルームマンション
タワーマンション(20階以上)低〜中層の1R / 1K
都心のファミリータイプファミリー需要のない単身向け

同じ「東京の不動産」でも、市場としては分かれています。報道やニュースで見る価格上昇は左側のカテゴリが中心で、右側の典型的な投資用ワンルームは、その上昇の流れに乗りにくい傾向があります。「うちも上がっているかも」という期待は、まず買取査定を取って実際の数字で確かめるのが確実です。

市況の戻りは「待てる時間」と相性が悪い

景気が回復すれば査定額も戻る、という見方もありますが、市況には非対称性があります。過去の景気後退局面(リーマンショック後や震災後など)では、ワンルームの査定額は大きく下がり、回復までに時間がかかりました。

つまり、判断を延ばすほど、回復を待っているあいだに次の下振れ局面を引いてしまう可能性も上がります。「待てば戻る」は、戻るまでの期間も手出しを払い続けることが前提になる点に注意が必要です。

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持ち続けると積み上がる5つのコスト

「待っても良くなりにくい」とすると、次に確かめたいのは「持ち続けるあいだに、何にどれだけ払うのか」です。塩漬けの総コストは、おおまかに次の 5 つが積み上がってできています。

  1. 毎月の手出しの累計
  2. 管理費・修繕積立金の値上がり
  3. 家賃の下落による手出しの増加
  4. 退去にともなう原状回復費・客付け広告費(AD)
  5. 突発的な修繕費

それぞれを、前提モデル(月の手出し 1.5 万円)に重ねて見ていきます。

コスト①:毎月の手出しの累計

もっとも分かりやすいのが、毎月払い続ける手出しそのものです。月 1.5 万円なら年 18 万円。これを年数分そのまま積み上げると、次のようになります。

経過年数手出しの累計(月1.5万円で固定した場合)
1年約 18 万円
3年約 54 万円
5年約 90 万円
10年約 180 万円

これは「手出し額が一定のまま」という、いわば楽観的な見積もりです。現実には、次に挙げる②〜④の要因で手出し額は年々増えていくことが多いため、累計は上の表より大きくなりやすい、と考えておくのが安全です。

コスト②:管理費・修繕積立金の値上がり

マンションの修繕積立金は、新築時に低めに設定し、年数の経過とともに段階的に引き上げていく方式(段階増額方式)が広く使われています。築 15 年・25 年・35 年といった節目で上がっていくのが一般的です。

国土交通省のガイドラインでも、当初の積立額を抑えて後から引き上げる場合、初期額と最終額のあいだには相応の開きが出る考え方が示されています。つまり、今の積立金額が将来もそのまま続く前提では、コストを少なく見積もってしまうことになります。

維持費が上がると、月の手出しも増えます。前提モデルで管理費・修繕積立金が将来あわせて月 5,000 円上がれば、それだけで月の手出しは 1.5 万円から 2 万円へ。年 6 万円の上乗せです。

なぜ・どの程度上がるのか、長期修繕計画との関係や値上げ後の査定への影響といった仕組みの詳細は、管理費・修繕積立金の値上げ問題で扱っています。

コスト③:家賃の下落による手出しの増加

ワンルームの査定額は、家賃 × 12 ヶ月 ÷ 想定利回りという収益還元の考え方で逆算されます。この式のポイントは、家賃が下がれば評価額もそのぶん下がるということです。前提モデルの利回り 6% で計算すると、家賃が月 5,000 円下がるだけで評価額はおよそ 100 万円、月 1 万円下がれば 200 万円規模で目減りする計算になります。

ここで影響してくるのが、家賃の動きです。築年数が進むほど客付けが難しくなり、家賃は下がる傾向があります。下落は築 20 年前後まで続きやすく、その後はゆるやかになっていくと言われます。

家賃が下がると、二重に効きます。

  • 月の手出しが増える:家賃収入が減るぶん、ローン返済や維持費との差額(手出し)が広がる
  • 出口の査定額が下がる:上の収益還元の式で分子(家賃)が小さくなるため、売れる金額も下がる

つまり家賃下落は「持っているあいだの負担」と「売るときの金額」の両方を押し下げます。

コスト④:退去にともなう原状回復費・客付け広告費(AD)

10 年というスパンでは、賃借人が複数回入れ替わります。ワンルームの入居期間は数年程度のことが多く、10 年持てば 2〜4 回の退去が起こりうると見ておくのが現実的です。退去のたびに、次の費用がかかります。

  • 原状回復費:室内クリーニングや、経年劣化を超える部分の補修。貸主の負担になる範囲で数万〜十数万円程度
  • 客付けの広告費(AD):次の入居者を見つけるために仲介へ支払う広告料。賃料の 1〜2 ヶ月分が目安
  • 空室期間の家賃ロス:次の入居者が決まるまでの数週間〜数ヶ月分

合わせると、退去 1 回で十数万〜数十万円規模です。10 年で 2〜4 回起これば、それだけで数十万〜100 万円近くに達することもあります。毎月の手出しや維持費の上昇よりも、この退去まわりの費用のほうが現実には大きな出費になりやすい部分です。

コスト⑤:突発的な修繕費

毎月の収支とは別に、設備の故障による臨時の出費があります。エアコン・給湯器・ウォシュレット・室内設備などは、築年数が進むほど交換や修理のタイミングが近づきます。

たとえばエアコン 1 台の交換でも、数万円から 10 数万円規模の支出になります。仮に毎月数千円程度のプラスが出ていたとしても、この種の臨時支出 1 回で簡単に吹き飛びます。

業者の販売時の収支シミュレーションは、こうした突発修繕を織り込んでいないことが多く、「月◯千円のプラスで回ります」という説明を鵜呑みにすると、実際の負担を小さく見積もってしまいます。

10年塩漬けシミュレーション

ここまでの 5 つのコストを、前提モデルに重ねて 10 年分まとめてみます。繰り返しになりますが、すべて一般化した仮定値です。

項目10年間の目安
① 毎月の手出しの累計約 180 万円(月1.5万円で固定した場合の下限)
② 管理費・修繕積立金の値上がり分数十万円(段階的な上昇を見込んだ場合)
③ 家賃下落による手出し増数十万円(下落幅により変動)
④ 退去の原状回復費・広告費(AD)退去1回で十数万〜数十万円。10年で2〜4回起こりうる
⑤ 突発修繕費数万〜数十万円(設備の交換時期次第)
10年で出ていくコストの目安退去まわりを含めると 250万〜400万円規模になりうる

さらに、10 年後の「出口」も見ておきます。前提モデルでは現在の査定額が約 2,000 万円ですが、築年が 10 年進み、家賃も下がっていれば、収益還元で逆算される査定額は今より下がっているのが一般的です。一方でローン残債は、元利均等返済では 10 年で約 500 万円ほどしか減りません。

  • 現在:残債 約 2,200 万円 − 査定 約 2,000 万円 = 手出し約 200 万円
  • 10 年後:残債 約 1,700万円 しかし査定額も下がるため、必要な手出し額が今より小さくなっているとは限らない

つまり、10 年持ち続けるあいだに 250 万〜400 万円規模のコストを払ったうえで、出口で必要な手出し額が大きく改善しているとは限らない、という構図が見えてきます。今売る場合と、10 年持ってから売る場合の累計でどちらが損が小さいかを、運用に回した場合の機会費用まで含めて比べる試算は、保有と売却を5年で比べるシミュレーションで詳しく扱っています。

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「持ち続けても良い」例外もある

ここまで読むと「持ち続けるのは損ばかり」と感じるかもしれませんが、すべての物件がそうとは限りません。次のような物件は、手出しが小さい、あるいは持ち続けても負担が膨らみにくい可能性があります。公平のために挙げておきます。

  • 中古を適正価格で購入できている物件:購入時に業者のマージンが大きく乗っていなければ、残債と査定額のギャップが小さく、手出しがそもそも少ない
  • 借入比率が低い物件:自己資金を多めに入れていれば残債そのものが小さく、月の収支がプラスに収まっていることもある
  • 値上がりしやすいエリアの物件:都心のファミリータイプに近い立地など、前述の「上がりやすいカテゴリ」に当てはまる物件

ご自身の物件がこれに該当しそうなら、待つ判断にも一定の根拠があります。ただし、それを確かめる方法も結局は同じで、今の査定額を取って残債と比べることです。査定額が残債を上回っていれば(アンダーローンなら)、そもそも塩漬けではありません。

待つ理由があるかは、数字で確かめる

ここまでをまとめます。

  • 「ローンが減れば手出しゼロ」は、査定額の下落の方が速いケースが多く、成立しにくい
  • 「不動産価格が上がっている」は、投資用ワンルームとは別のカテゴリの話であることが多い
  • 持ち続けると、毎月の手出しに加えて、維持費の値上がり・家賃下落・退去費用・突発修繕が積み上がる
  • 前提モデルでは、10 年持つあいだに 250 万〜400 万円規模のコストが出ていく
  • 一方で、適正価格で買えている・借入比率が低い・値上がりエリアといった例外もある

塩漬けを続けるか、手出ししてでも今売るかは、感覚ではなく数字で判断するものです。判断の起点になるのは、現在の正確な査定額です。

ここで取るべきは、仲介ではなく買取業者の査定額です。仲介中心の一括査定は、媒介契約を取るために高めの数字(ブラフ価格)が出やすく、現実の試算には向きません。買取業者の査定額は、業者が実際に支払う金額なので、手出し額や塩漬けコストの試算にそのまま使えます。

複数の買取業者から査定を取り、現在の残債と比べてみてください。そのうえで「待てば良くなる根拠があるか」を、この記事の 4 つのコストに照らして確かめれば、持ち続けるか売るかの判断材料がそろいます。「待てばマシになる」前提が成立しないなら、待つ理由は乏しい、というのがこのサイトの基本的な立場です。

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よくある質問

Q.塩漬けのワンルームを持ち続ければ、いつか手出しゼロで売れますか?
A.元利均等返済ではローン残債は緩やかにしか減らない一方、ワンルームの査定額は築年数の経過と市況で下がる方が速いケースが多くなります。そのため「あと数年で手出しゼロ」という期待は成立しにくく、逆に待つほど必要な手出し額が増えることもあります。中古を適正価格で買えている・借入比率が低い・値上がりエリアといった例外もあるため、まずは買取査定を取って現在の残債と比べるのが確実です。
Q.最近は不動産価格が上がっていますが、私のワンルームも値上がりしていませんか?
A.値上がりしやすいのは駅近・大規模マンション・タワーマンション・都心のファミリータイプなどが中心で、駅から離れた中小規模の投資用ワンルームはこの流れに乗りにくい傾向があります。同じ東京の不動産でも市場が分かれているため、報道で見る価格上昇がそのまま自分の物件に当てはまるとは限りません。実際のところは買取査定を取れば数字で分かります。
Q.持ち続けると、毎月の手出し以外にどんなコストがかかりますか?
A.主に、管理費・修繕積立金の段階的な値上がり、家賃下落による手出しの増加、退去のたびの原状回復費・客付け広告費(AD)、エアコンや給湯器などの突発的な修繕費の4つが上乗せされます。毎月の手出しが一定で続くという前提は楽観的で、実際にはこれらの要因で年々負担が増えていくことが多くなります。
Q.修繕積立金は今後も今の金額のままですか?
A.マンションの修繕積立金は、新築時に低めに設定し、年数の経過とともに段階的に引き上げる方式(段階増額方式)が広く使われています。築15年・25年・35年といった節目で上がっていくのが一般的で、今の金額が将来も続く前提だと維持費を少なく見積もってしまいます。値上がりの仕組みの詳細は別記事「管理費・修繕積立金の値上げ問題」で扱っています。
Q.塩漬けを続けるか、今売るかはどう判断すればよいですか?
A.感覚ではなく数字で判断するのが基本です。まず買取業者から複数の査定を取り、現在のローン残債と比べて手出し額を確認します。次に、持ち続けた場合に積み上がるコスト(毎月の手出し・維持費の値上がり・家賃下落・退去費用・突発修繕)を見積もり、待てば改善する根拠があるかを照らし合わせます。改善の根拠が乏しいなら、待つ理由は乏しいと考えられます。
Q.査定額は仲介と買取のどちらで取ればよいですか?
A.塩漬けコストの試算には買取業者の査定額を使うのが現実的です。仲介中心の一括査定は、媒介契約を取るために高めの数字(ブラフ価格)が出やすく、実際の売却額とずれることがあります。買取業者の査定額は業者が実際に支払う金額なので、手出し額や持ち続けた場合のコスト試算にそのまま使えます。

まとめ

手出しが続く塩漬けの投資用ワンルームは、「待てば良くなるかもしれない」という期待で持ち続けてしまいがちです。けれども、その期待の中身を一つずつ確かめると、待つ根拠は思ったほど強くないことが多いのが実情です。

  • 残債の減りより査定額の下落が速いケースが多く、手出しゼロは待っても訪れにくい
  • 価格上昇のニュースは、投資用ワンルームとは別の市場の話であることが多い
  • 持ち続けると、毎月の手出しに維持費の値上がり・家賃下落・退去費用・突発修繕が積み上がる
  • 架空モデルでは、10 年で 250 万〜400 万円規模のコストが出ていきうる
  • 一方で、適正価格で買えている・借入比率が低い・値上がりエリアといった例外もある

塩漬けを続けるか売るかは、数字で判断するものです。最初のステップは、現在の正確な査定額を知ること。買取業者の査定額(仲介のブラフ価格ではなく実際に支払われる金額)と残債を比べれば、必要な手出し額と、待つことの意味が見えてきます。

そこから先の手出し売却の進め方や資金調達は手出し売却の完全ガイドで扱っています。あわせて確認してみてください。

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