投資用ワンルーム買取一括査定

ローン・残債

ワンルームの手出し金はいくら?計算式とステップ・具体例で解説

著:投資用ワンルーム買取一括査定 編集部

「売るには手出しが必要らしいけれど、結局いくら用意すればいいのか」――投資用ワンルームの売却で残債が査定額を上回っているとき、最初に知りたくなるのがこの金額です。

この記事では、手出し金の計算式とステップ、そして架空モデルを使った具体的な計算例を解説します。残債の正確な出し方、査定額をどこで取るか、諸費用に何を入れて何を入れないか――この順に見ていけば、ご自身でおおよその手出し金を出せるようになります。

手出し売却の全体像(手出し額の相場や資金調達手段)は「手出し売却完全ガイド」、残債が特に大きいケースの進め方は「残債が多いワンルームの売却方法」で扱っています。

計算に使う査定額を取る

1. 手出し金の基本式

手出し金とは、売却するときに自己資金で用意する必要がある金額です。基本の計算式はシンプルです。

手出し金 = ローン残債 −(買取査定額)+ 諸費用

ローン残債を、物件の売却代金(買取査定額)で返しきれないとき、その差額に売却時の諸費用を足したものが手出し金になります。残債が査定額を上回っている状態は、不動産業界ではオーバーローンと呼ばれます。手出し金が発生するのは、このオーバーローンのときです。

逆に、査定額が残債を上回っていれば(アンダーローン)、売却代金で残債を返してもお金が手元に残るので、手出しは不要です。

この式で押さえておきたいのは、3つの数字をそれぞれ正確に出すことです。残債・査定額・諸費用のどれかがずれると、手出し金の見積もりもずれます。次の章から、ひとつずつ確認していきます。

手出し金と税金は別物

先に1点だけ整理しておきます。手出し金は「売却するためにいま用意するキャッシュの過不足」の話です。これと、売却益にかかる譲渡所得税(税務上の損益計算)は別の話です。

投資用ワンルームは購入価格に業者の利益が乗っていることが多く、売却すると損が出る(売却損)ケースがほとんどです。売却損なら譲渡所得税はかからないため、手出し金の計算に税金を足す必要は通常ありません。譲渡所得税の計算については「ワンルーム売却の譲渡所得税ガイド」で扱っています。本記事では、税金は手出し金の計算に含めていません

2. 計算の4ステップ

手出し金を出す手順を、4つのステップに分けます。

  1. ローン残債を確認する:返済予定表または金融機関のWebサービスで、現在の残高を出す
  2. 買取査定額を取る:買取業者の査定(複数社)で、実際に支払われる金額に近い数字を出す
  3. 諸費用を見積もる:抵当権抹消費用、印紙税、サブリース解約違約金、ローン早期完済違約金
  4. 式に当てはめる:残債 −(査定額)+ 諸費用 = 手出し金

ステップ1とステップ2でそれぞれ正確な数字を取れるかが、見積もりの精度を決めます。順に見ていきます。

3. ステップ1:ローン残債の正確な出し方

残債は、次のいずれかで確認できます。

  • 金融機関から届く返済予定表(償還予定表)
  • 各金融機関のWebサービス(インターネットバンキング)

投資用ワンルームのローンは、オリックス銀行や楽天銀行など、投資用物件に融資する金融機関を使っているケースが多いです。借入先のWebサービスにログインすれば、現在の残高をその場で確認できます。

繰上返済をしている場合は最新残高を見る

注意したいのが、過去に繰上返済をしている場合です。古い返済予定表の数字は、繰上返済が反映されていないため、実際の残高とずれます。

繰上返済をしたことがあるなら、返済予定表の古い数字ではなく、金融機関のWebサービスに出ている現在残高を使うのが確実です。

4. ステップ2:査定額は買取査定で取る

もう一方の査定額は、買取業者の査定で取ります。なぜ買取査定なのか、理由が2つあります。

投資用ワンルームは仲介でも買取でも売却額があまり変わらない

投資用ワンルームの買主は、仲介に出しても買取に出しても、実質的に業者です。そのため売却額は仲介でも買取でも大きくは変わりません。違うのは、仲介手数料が乗るかどうかです。買取業者に直接売れば仲介手数料はかからないので、手出し金の計算もシンプルになります。

仲介の一括査定の「ブラフ価格」で計算しない

もうひとつの理由が、査定額の信頼性です。仲介中心の一括査定サイトは、媒介契約を取るために高めの数字(ブラフ価格)を出しやすい傾向があります。この数字をあてに手出し金を計算すると、実際の成約額との差のぶんだけ、後で手出し金が増えることになります。

残債と比べる査定額は、業者が実際に支払う金額に近い買取査定で取るのが、現実的な計算につながります。複数の買取業者から査定を取り、その中の最高額で計算すれば、手出し金は最小の見積もりになります。1社だけだと、その業者の言い値が基準になってしまうため、複数社で比較するのが基本です。

複数の買取業者から査定を取る

5. ステップ3:諸費用に入れる費用・入れない費用

「諸費用」に、何を入れて何を入れないかを整理します。

費用項目手出し金に入れる?理由
抵当権抹消費用入れるローン完済時に抵当権を外す登記費用。売主が負担する
印紙税(売買契約書)入れる契約金額に応じた定額。電子契約なら不要な場合もある
サブリース解約の違約金入れる(サブリース付きを解約する場合)中途解約の違約金。賃料の半年分前後が一つの相場(契約により幅あり)
ローンの早期完済違約金入れる場合がある固定金利などで繰上完済時に発生しうる。借入からの期間で割合が変わるため借入先に要確認
仲介手数料入れない(買取直接の場合)買取業者に直接売るなら発生しない

入れる費用①:抵当権抹消費用

ローンを完済すると、登記簿に付いている抵当権を外す手続き(抵当権抹消登記)が必要です。これにかかるのが抵当権抹消費用です。

内訳は、登録免許税司法書士報酬(依頼する場合)です。登録免許税は不動産1個につき1,000円で、投資用ワンルーム(区分マンションの1室)は専有部分(建物)と敷地権で2個になることが多く、2,000円程度になります。司法書士に依頼する場合は報酬が加わり、登記事項証明書の取得費などの実費も含めると、総額で 1~3万円程度が目安です。報酬は事務所によって差があります。

抵当権抹消の詳しい手続きは「抵当権抹消の費用と必要書類」、司法書士への依頼については「売却時の司法書士への依頼」で扱っています。

入れる費用②:印紙税

売買契約書には、契約金額に応じた印紙税がかかります。これは契約金額の帯ごとに定額で決まっています。

たとえば契約金額が1,000万円超5,000万円以下の場合、軽減措置(2027年3月31日までに作成される契約書が対象)で1万円です(軽減措置の適用がない本則では2万円)。契約金額がこの帯を外れれば金額は変わるので、ご自身の売却価格の帯で確認してください。

出典:国税庁 No.7140 印紙税額の一覧表No.7108 不動産譲渡契約書の印紙税の軽減措置

なお、最近は電子契約で売買契約を結ぶケースも増えています。電子契約の場合は紙の契約書を作らないため、印紙税がかからないこともあります。

入れる費用③:サブリース解約の違約金(サブリース付きの場合)

サブリース(家賃保証)が付いた物件を、解約してから売る場合は、サブリースの中途解約の違約金がかかることがあります。契約によって幅がありますが、賃料の半年分前後が一つの相場です(賃料の3〜6ヶ月分あたりで設定されていることが多く、契約によってはこれ以上のこともあります)。

金額は契約書の中途解約条項で確認します。サブリース付き物件の売却そのものの進め方は「サブリース付きワンルームの売却」で扱っています。

入れる費用④:ローンの早期完済違約金

ローンを売却で一括完済(全額繰上返済)するときに、早期完済の違約金(手数料)がかかることがあります。

特徴的なのは、借入からの期間が短いほど割合が高くなる傾向がある点です。たとえば「借入から一定年数以内の繰上完済は残債の数%」といった設定が見られ、金融機関・商品によって大きく変わります。投資用ワンルームのローン(オリックス銀行・楽天銀行など)でも、繰上完済に違約金が設定されていることがあるため、金額は借入先に確認するかローン契約書を確認しておきましょう。手出し金が大きく変わる場合があります。

入れない費用:仲介手数料

仲介手数料は、買取業者に直接売る場合は発生しません。仲介を挟まず業者に直接買い取ってもらうなら、この項目はゼロです。手出し金の式に入れる必要はありません。

仲介経由で売る場合は売却額に応じた仲介手数料(上限は売却額の3%+6万円+消費税)がかかりますが、前述のとおり投資用ワンルームでは査定額が仲介でも買取でも近いため、仲介を選ぶと手数料のぶんだけ手取りが減ることになります。

6. ステップ4:実際の数値で計算してみる

ここまでの式に、具体的な数字を当てはめてみます。以下は架空のモデルケースです(実在の物件・取引ではありません)。

前提(架空モデル)

  • ローン残債:2,300万円
  • 買取査定額(複数社の最高額):2,000万円
  • 諸費用:印紙税 1万円 + 抵当権抹消 約1万円 = 約2万円

これを式に当てはめます。

手出し金 = 2,300万円 −(2,000万円)+ 2万円 = 約302万円

このケースでは、売却にあたって約302万円を自己資金で用意する必要がある、という計算になります。なお、このモデルにはサブリース解約や固定金利ローンの早期完済の違約金は含めていません。これらに当てはまる場合は、その金額がさらに上乗せされます。

仲介経由だとどうなるか(対比)

同じケースで、もし仲介を経由したらどうなるかも見ておきます。投資用ワンルームでは査定額そのものは仲介でも買取でも近いため、ここでは査定額を同じ2,000万円とします。違いは、仲介手数料がかかる点です。

  • 仲介手数料(上限の目安):2,000万円 × 3% + 6万円 + 消費税 = 約72万円

この場合、手出し金は 2,300万円 −(2,000万円)+ 2万円 + 72万円 = 約374万円 に増えます。査定額が下がるからではなく、仲介手数料のぶんだけ手取りが減ります。買取業者への直接売却なら、この72万円を節約できます。

7. よくある計算ミス

最後に、手出し金の計算で起こりやすいミスを挙げます。

ミス①:ブラフ価格で計算してしまう

仲介中心の一括査定で出た高めの数字(ブラフ価格)を、そのまま査定額に使ってしまうケースです。

たとえば仲介の一括査定で2,200万円という数字が出たとします。先ほどの架空モデルでこの数字を使うと、手出し金は 2,300万円 −(2,200万円)+ 2万円 = 約102万円 に見えます。ところが実際の成約は買取相当の2,000万円付近なので、本当の手出し金は約302万円。約200万円も見積もりがずれることになります。査定額は買取査定で取るのが、この種のミスを避ける基本です。

ミス②:仲介手数料を二重に計上する/忘れる

買取業者に直接売るのに、仲介手数料を諸費用に入れてしまうミスです。買取直接なら仲介手数料はかからないので、入れると手出し金を多く見積もりすぎます。逆に、仲介経由で売るのに手数料を入れ忘れると、手出し金が足りなくなります。自分が買取直接で売るのか、仲介経由なのかで、仲介手数料を入れるかどうかが変わります。

ミス③:繰上返済前の古い残債を使う

過去に繰上返済をしているのに、繰上返済前の古い返済予定表の数字で計算してしまうミスです。実際の残高より大きい数字で計算すると、手出し金を多く見積もってしまいます。残債は最新の現在残高で確認します(第3章参照)。

正確な査定額で手出し金を試算する

8. よくある質問

Q.手出し金の計算式を教えてください。
A.基本式は「手出し金 = ローン残債 −(買取査定額)+ 諸費用」です。残債を売却代金で返しきれない差額に、抵当権抹消費用と印紙税などの諸費用を足したものが手出し金になります。買取業者に直接売る場合は仲介手数料がかからないため、計算はシンプルです。残債・査定額・諸費用の3つをそれぞれ正確に出すのがポイントです。
Q.査定額は仲介と買取のどちらで計算すればよいですか?
A.買取査定で計算するのが現実的です。投資用ワンルームは買主が実質的に業者なので、査定額は仲介でも買取でも大きく変わりません。一方、仲介中心の一括査定は媒介契約を取るために高めのブラフ価格を出しやすく、その数字で計算すると後で手出し金が増えることがあります。業者が実際に支払う金額に近い買取査定を、複数社から取って最高額で計算するのが安全です。
Q.諸費用には何を入れればよいですか?
A.手出し金に入れるのは、抵当権抹消費用(登録免許税は不動産1個1,000円で、ワンルームは2,000円程度+司法書士報酬1~3万円)と、印紙税(契約金額1,000万円超5,000万円以下なら軽減措置で1万円)です。さらに、サブリース付きを解約するなら解約違約金(賃料の半年分前後が相場)、固定金利ローンを一括完済するなら早期完済違約金(借入先・借入期間による)が加わることがあります。一方、買取直接なら仲介手数料はかからず、不動産取得税は買主の税金、譲渡所得税も売却損なら原則ゼロのため、これらは通常入れません。
Q.手出し金の計算に税金は含めますか?
A.通常は含めません。手出し金は「いま用意するキャッシュの過不足」、譲渡所得税は「税務上の損益計算」で、別の話です。投資用ワンルームは売却損になるケースがほとんどで、売却損なら譲渡所得税はかかりません。譲渡所得税の取得費や減価償却、概算取得費といった数字を手出し金の計算に持ち込まないようにします。
Q.繰上返済をした場合、残債はどう確認しますか?
A.過去に繰上返済をしている場合、古い返済予定表の数字は実際の残高とずれます。金融機関のWebサービス(インターネットバンキング)に出ている現在残高を使うのが確実です。手出し金は残債が起点になるため、ここがずれると全体の見積もりがずれます。
Q.計算で出た手出し金が用意できない場合はどうすればよいですか?
A.手出し金の埋め方(自己資金・親族借入など)は別記事で扱っています。詳しくは「手出し売却完全ガイド」、残債が特に大きいケースは「残債が多いワンルームの売却方法」を参照してください。まずは正確な査定額を取り、埋めるべき金額をはっきりさせるところから始めるのが現実的です。

9. まとめ

投資用ワンルームの手出し金の計算手順を整理しました。

  • 基本式は「手出し金 = ローン残債 −(買取査定額)+ 諸費用」
  • 残債は最新の現在残高で確認する(繰上返済済みならWebサービスの残高を使う)
  • 査定額は買取査定で、複数社の最高額で計算する(仲介のブラフ価格は使わない)
  • 諸費用に入れるのは抵当権抹消費用と印紙税。仲介手数料(買取直接なら)・不動産取得税・譲渡所得税(売却損なら)は入れない
  • 手出し金(キャッシュ)と譲渡所得税(税金)は別物。税金計算の取得費を持ち込まない

3つの数字のうち、調べればすぐ分かるのは残債です。査定額は業者に出してもらわないと分からず、その信頼性が手出し金の精度を決めます。買取業者から複数の査定を取り、現在の残債と並べてみるところから始めるのが、正確な手出し金を知る第一歩になります。

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