投資用ワンルーム買取一括査定

売却方法

オーナーチェンジ物件の売却ガイド|賃借人付き売却の仕組み・敷金・進め方

著:投資用ワンルーム買取一括査定 編集部

「入居者が住んでいる状態のまま、この物件を売れるのか」――投資用ワンルームの売却を考え始めて、最初につまずくのがこの疑問です。住んでいる人がいるのに勝手に売っていいのか、敷金はどうなるのか、入居者に断りを入れる必要はあるのか。気になる点が多いまま手が止まってしまう方は少なくありません。

この記事では、入居者がいるまま所有者だけが替わる「オーナーチェンジ」での売却について、賃貸借契約や敷金がどう引き継がれるのか、空室との査定の違い、賃貸管理の扱い、そして進行手順までを解説します。投資用ワンルームは賃貸中のまま売るのが基本形です。

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1. オーナーチェンジ物件とは

オーナーチェンジとは、賃借人(入居者)が住んでいる状態のまま、所有者(オーナー)だけが替わる売買のことです。入居者にとっては大家さんが替わるだけで、引っ越す必要はなく、住み続けたまま物件の持ち主が買主へ移ります。

投資用ワンルームは、家賃収入を目的に保有する商品です。買う側の業者も「家賃が入ってくる状態」を前提に値付けをするため、わざわざ入居者に退去してもらってから売るのではなく、賃貸中のまま売るのが一般的です。

入居者の同意・承諾は不要

「住んでいる人に売却の許可をもらわないといけないのでは」と考える方がいますが、所有者が物件を売ること自体に賃借人の承諾は要りません。2020 年 4 月施行の改正民法では、賃貸人(大家)の地位は、売主と買主の合意だけで買主へ移せると定められています(民法 605 条の 3)。入居者の同意を取り付ける必要はない、というのが法律上の整理です。

ただし、入居者の生活が乱されないことが、賃貸中の売却が成り立つ前提でもあります。家賃の振込先や管理会社が変わる場合は、後述のとおり通常は新しい所有者の側から入居者へ案内が行われます。

サブリース付きの場合は事情が異なる

なお、サブリース(賃貸管理会社が物件を借り上げ、入居者へまた貸ししている形態)が付いている物件は、ここで説明する通常のオーナーチェンジとは扱いが変わります。サブリースでは借り上げている業者が借主の立場になり、解約や査定へ影響してきます。詳しくは「サブリース付きワンルームの売却」で解説しています。

2. 賃貸中の方が査定額が安定する理由

オーナーチェンジで気になるのが「入居者がいると安く買い叩かれるのでは」という不安ですが、投資用ワンルームではむしろ賃貸中の方が査定が安定する傾向があります。

投資用ワンルームの査定は、家賃から逆算する収益還元法(年間の家賃収入を想定利回りで割り戻して価格を出す考え方)が基本です。式にすると「年間家賃 ÷ 想定利回り ≒ 価格」という形になります。

賃貸中であれば、いくらの家賃が現に入っているかが確定しています。この確定した家賃をもとに計算できるため、価格の根拠がはっきりし、評価がブレにくくなります。

賃貸中(オーナーチェンジ)空室
査定の前提現に入っている家賃で計算できる想定家賃で計算する
家賃の確定度確定している実際にいくらで貸せるかは未確定
評価のブレブレにくい保守的に見積もられやすい
内見入居者がいるため室内の内見は難しい内見できる場合がある

3. 空室との査定の違い

「空室にしてから売った方が高く売れるのでは」と考える方もいます。住宅として実際に住む人(実需)が買う一般的なマンションでは、空室にして内見してもらった方が高く売れる可能性があります。買い手が自分の目で部屋を確認できるからです。

ただし投資用ワンルームでは事情が違います。ワンルームを買う相手は、自分で住む個人ではなく、ほとんどが転売を前提とした業者です。仲介に出しても最終的な買い手が業者になりやすい構造で、この点は「仲介と買取の違い」で詳しく扱っています。買い手が業者である以上、空室にして実需向けに見せても、実需プレミアムは期待しにくいのが実態です。

むしろ空室にすると、家賃が止まって収入が途絶えるうえ、いくらで貸せるかが未確定の「想定家賃」で査定されることになります。想定家賃は保守的に見積もられやすいため、空室の方が査定が下がる場合もあります。

このため、投資用ワンルームではわざわざ空室にしてから売るメリットは大きくないことが多く、賃貸中のまま売るのが現実的です。

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4. 賃貸借契約・敷金の引き継ぎ

オーナーチェンジでもっとも誤解が多いのが、賃貸借契約や敷金がどう引き継がれるかという点です。ここは「法律上の承継」と「決済時のお金の精算」を分けて理解しましょう。

賃貸借契約は買主に当然に引き継がれる

入居者との賃貸借契約は、所有者が替わってもそのまま買主へ引き継がれます。2020 年 4 月施行の改正民法では、賃貸借の対抗要件(賃貸住宅では入居=建物の引き渡しを受けていること)を備えた物件が売却されたとき、賃貸人の地位は新しい所有者へ当然に移ると定められています(民法 605 条の 2)。

入居者は、これまでと同じ契約内容のまま、新しい所有者を貸主として住み続けます。契約を結び直す必要はありません。

敷金は「法的な承継」と「決済時の精算」の二層で考える

敷金は分かりにくいポイントです。次の 2 つは別の話なので、分けて理解してください。

1 つ目:入居者への敷金返還義務は新所有者へ引き継がれる(法的な承継)

入居者が将来退去するときに敷金を返す義務は、賃貸人の地位とともに新しい所有者(買主)へ承継されます(民法 605 条の 2 第 4 項)。つまり、入居者は退去時に新しい所有者へ敷金の返還を求めることになります。売主が将来の敷金返還まで責任を負い続けるわけではありません。

2 つ目:決済のときに、売主が預かっている敷金分を買主へ渡す(お金の精算)

一方で、現に売主が預かっている敷金は、決済のときに売主から買主へ引き渡す(または売買代金から差し引く)のが通常の実務です。返還義務が買主へ移るのだから、その原資となる敷金も買主へ渡しておく、という精算です。

この 2 つは混同されがちですが、別物です。「入居者への返還義務が買主に移ること(法的な承継)」と「決済の場で売主が買主へ敷金分のお金を渡すこと(精算)」を分けて押さえておくと、契約書や精算書を見たときに迷いません。

論点中身誰の話か
敷金の法的な承継入居者への敷金返還義務が新所有者へ移る(民法 605 条の 2 第 4 項)売主・買主・入居者の関係
決済時の敷金の精算売主が預かっている敷金分を買主へ渡す/代金から差し引く売主と買主のお金のやり取り

5. 賃貸管理は自動では引き継がれない

「賃貸借契約も敷金も引き継がれるなら、管理会社もそのまま引き継がれるのでは」と考えがちですが、ここは分けて理解する必要があります。賃貸借契約や敷金とは違い、賃貸管理の委託契約は自動では引き継がれません

賃貸借契約は入居者と大家の間の契約で、これは法律で当然に新所有者へ移ります。一方、賃貸管理の委託契約は、大家と管理会社の間の別の契約です。買主が業者の場合、自社や指定の管理会社に切り替えることが多いため、売主が引き渡しまでに管理会社との委託契約を解約しておくことを求められることがあります。

なお、ここでいう管理会社とは、入居者からの家賃振込や問い合わせに対応する賃貸管理会社であって、建物の共用部の維持管理を行っている建物管理会社とは別物です。

管理会社が解約に応じにくいケースに注意

ここに実務上の落とし穴があります。管理会社にとって、管理委託の解約は収益源を失うことを意味します。そのため、売主が解約を申し入れても手続きをなかなか進めてくれない、引き延ばされる、というケースが起こりえます。

引き渡しまでに管理委託の解約が条件になっているのに管理会社が動かないと、売主が引き渡しの期限に間に合わないおそれが出てきます。対策としては次のような進め方が考えられます。

  • 解約予告期間を先に確認する:管理委託契約には「解約は 1〜3 ヶ月前に予告」といった条件があることが多いので、契約書で確認し、早めに解約の通知を出す
  • 書面で記録を残す:解約の申し入れは書面(内容証明郵便など)で行い、いつ申し入れたかを記録に残す
  • 買主と時期を共有しておく:管理会社の対応が遅れそうな場合は、買主にも状況を伝え、引き渡し時期の調整余地を持っておく

一般的な解説では「管理もそのまま引き継がれる」と書かれることがありますが、買主が業者のオーナーチェンジでは、売主が管理会社を解約してから引き渡すのが実態です。

6. 入居者への通知は誰がいつ行うか

「売却したら、入居者に自分から連絡を入れないといけないのか」という点も気になるところです。

前述のとおり、所有者の交代に入居者の承諾は不要なので、入居者へ事前に許可を取る必要はありません。一方で、家賃の振込先や問い合わせ先の管理会社が変わるため、入居者へその案内(オーナーチェンジの通知・賃貸人変更の通知)は必要になります。

この通知は、通常は新しい所有者(買主)や新しい管理会社の側から行われます。「今月分からは新しい振込先へ」「管理会社が替わりました」といった案内です。売主が入居者に対して個別に許可を取ったり、退去をお願いしたりする必要はありません。入居者の生活は基本的にそのまま続きます。

なお、引き渡しの際には、賃貸借契約書・入居者の情報・敷金の精算といった賃貸借関係の書類の引き継ぎが中心になります。賃貸中なので部屋の鍵を渡す通常の引き渡しとは性質が違う点も押さえておきましょう。決済日当日の具体的な流れは「売却決済日の流れ」で解説しています。

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7. 売却の進行手順

オーナーチェンジ物件を売る場合の、おおまかな進行手順です。賃貸中ならではのポイントを織り込んでいます。

  1. 賃貸借の状況を整理する:現在の家賃・契約期間・預かっている敷金・管理会社との委託契約の内容(解約予告期間)を確認する
  2. 買取査定を取る:賃貸中のまま、複数の買取業者へ査定を依頼する。現に入っている家賃をもとに収益還元で評価されるため、賃料が確定している強みが活きる
  3. 売買契約を結ぶ:賃貸中のまま、現況有姿(今ある状態のまま)で契約するのが基本。賃貸中は室内の内見ができないことがほとんどで、業者はそれを織り込んで査定している
  4. 管理委託契約の解約を進める:引き渡しまでの解約が条件になっている場合、早めに管理会社へ解約通知を出す
  5. 決済・引き渡し:残代金の受け取りとローン完済、所有権移転をまとめて行い、賃貸借関係の書類を引き継ぐ。敷金分は決済の場で精算する

買取業者への売却では、室内の内見対応や販売活動がないぶん、必要書類がそろえば売買契約までは比較的早く進みます。一方で、賃貸中で買い手が業者という性質上、いくつか賃貸中ならではの注意点があります。

契約から引き渡しの間に入居者が退去した場合

オーナーチェンジ(賃貸中)として契約したあと、契約から引き渡しまでの間に入居者が退去してしまうケースがあります。買主は「賃貸中・家賃が付いている状態」を前提に買い付けているため、引き渡し前に退去すると前提が崩れます。

このため、契約書に「契約から引き渡しまでの間に入居者が退去した場合、原状回復費用は売主が負担する」といった特約が入ることがあります。引き渡し「後」ではなく、引き渡し「前」の期間が対象になる点が特徴です。

特に、買取の決済までには数ヶ月かかることがあります。投資用ワンルームの買取業者の多くは「三為(さんため)」という、転売先の投資家の融資で決済する仕組みで取引しており、契約から決済まで 3〜4 ヶ月程度かかるケースが珍しくありません(三為の仕組みは「三為契約とは」で解説)。この期間が長いほど、引き渡し前に退去が起こる可能性も出てきます。賃貸中の物件を売るときは、こうした特約の有無を契約書で確認しておくと安心です。契約書で売主が確認しておきたい条項は「売買契約書で確認すべきポイント」にまとめています。

8. よくある質問

Q.入居者がいるままでも売却できますか?
A.売却できます。入居者が住んでいる状態のまま所有者だけが替わる「オーナーチェンジ」という形で売るのが、投資用ワンルームでは一般的です。入居者は引っ越す必要がなく、これまでと同じ契約のまま住み続けます。所有者を替えること自体に入居者の承諾は要りません(2020 年 4 月施行の改正民法 605 条の 3)。
Q.空室にしてから売った方が高く売れますか?
A.投資用ワンルームでは、必ずしもそうとは言えません。買い手の多くが転売を前提とした業者で、自分で住む個人が買うことは実態として少ないため、空室にして実需向けに見せても価格が上がりにくいからです。むしろ空室にすると家賃収入が止まり、想定家賃での保守的な査定になりやすいため、賃貸中のまま売る方が評価が安定するケースが多くなります。
Q.敷金は売却するとどうなりますか?
A.二段階で考えると整理しやすくなります。まず、入居者へ敷金を返す義務は、所有者の交代とともに新しい所有者(買主)へ引き継がれます(民法 605 条の 2 第 4 項)。入居者は退去時に新しい所有者へ返還を求めます。一方、現に売主が預かっている敷金は、決済のときに売主から買主へ渡す、または売買代金から差し引く形で精算します。「入居者への返還義務の承継」と「決済時のお金の精算」は別の話として分けて理解してください。
Q.管理会社はそのまま引き継がれますか?
A.賃貸借契約や敷金は法律で当然に引き継がれますが、賃貸管理の委託契約は別の契約で、自動では引き継がれません。買主が業者の場合は自社や指定の管理会社に切り替えることが多く、売主が引き渡しまでに管理委託契約を解約するよう求められることがあります。管理会社が解約に応じにくいケースもあるため、解約予告期間を早めに確認し、書面で解約通知を出しておくと安全です。
Q.入居者に売却を知らせる必要はありますか?
A.所有者を替えること自体に入居者の承諾は要らないため、事前に許可を取る必要はありません。ただし家賃の振込先や問い合わせ先の管理会社が変わるため、その案内は必要です。この通知は通常、新しい所有者や新しい管理会社の側から行われます。売主が入居者に個別に許可を取ったり退去をお願いしたりする必要はなく、入居者の生活は基本的にそのまま続きます。
Q.契約してから引き渡しまでに入居者が退去したらどうなりますか?
A.買主は家賃が付いている状態を前提に買い付けているため、引き渡し前に入居者が退去すると前提が崩れます。このため、契約から引き渡しまでの間に退去した場合の原状回復費を売主が負担する、という特約が入ることがあります。買取は決済まで数ヶ月かかることがあるので、この期間に退去が起こる可能性も踏まえ、契約書で特約の有無を確認しておくとよいでしょう。

9. まとめ

オーナーチェンジ(賃借人付き)でのワンルーム売却について、仕組みと進め方を整理しました。

  • オーナーチェンジは、入居者が住んだまま所有者だけが替わる売却。所有者を替えること自体に入居者の承諾は不要
  • 投資用ワンルームは、賃貸中の方が家賃が確定しているぶん収益還元での評価が安定しやすい。空室にしても買い手が業者中心のため、実需プレミアムは期待しにくい
  • 賃貸借契約と敷金は法律で当然に買主へ引き継がれる。ただし敷金は「入居者への返還義務の承継」と「決済時の金銭精算」を分けて理解する
  • 賃貸管理の委託契約は自動では引き継がれず、売主が解約する側になりやすい。管理会社が解約に応じにくいケースに備えて早めに動く
  • 入居者への振込先・管理会社変更の通知は、通常は新しい所有者の側から行われる
  • 契約から引き渡しの間に退去が起こった場合の費用負担など、賃貸中ならではの特約を契約書で確認しておく

オーナーチェンジは投資用ワンルームでは標準的な売り方で、賃貸中のまま売れること自体は心配の要らない部分です。判断の出発点になるのは、現に入っている家賃をもとにした現在の査定額です。賃貸中のまま複数の買取業者から査定を取り、残債と比べてみることから始めるのが現実的です(残債が査定額を上回る場合の進め方は「手出し売却のガイド」で解説しています)。

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