比較
新築ワンルームと中古ワンルーム|売却時の損失はどれくらい違うか
「新築で買った投資用ワンルームを売ろうとしたら、思っていたより査定が低かった」――新築ワンルームの売却を考え始めて、この差に戸惑う方は少なくありません。中古で買った人と比べて、新築で買った人の方が売却時の損が大きくなりやすい、という話を耳にしたことがあるかもしれません。
この記事では、新築ワンルームと中古ワンルームで、売却時の損失にどれくらいの差が出るのかを解説します。新築価格に上乗せされている「新築プレミアム」がどれくらい下がるのか、引き渡し直後に査定額がなぜ下がるのか、そして新築で買った人ほど手出しが深くなりやすい仕組みまで順に見ていきます。なお、ここで挙げる数字はいずれも目安で、立地や物件によって変わります。
無料で買取査定を依頼する →1. 新築価格には「新築プレミアム」が乗っている
新築ワンルームの販売価格は、その物件が生む家賃の水準だけでは説明がつかない高さになっていることがよくあります。中古に比べて割高になる主な要因が、いわゆる新築プレミアムです。
新築プレミアムの中身
新築プレミアムとは、「新築であること」そのものに付く上乗せ分です。投資用ワンルームの新築価格には、おおまかに次のようなものが乗っています。
- 業者の利益:仕入れや開発のコストに上乗せされる利益分
- 販売経費:モデルルーム、広告宣伝、営業人件費などの販売活動にかかる費用
- 新築という付加価値への上乗せ:誰も使っていない新品である、という価値に対する価格
一般に、新築マンションの販売価格のうち1〜3割程度が新築プレミアムにあたると言われます。投資用ワンルームの場合、これに営業マージンが厚く乗りやすく、価格に占める上乗せ分が大きくなりがちです。
中古は上乗せが少ない
これに対して中古ワンルームは、すでに一度市場で評価を受けた価格で売買されます。新築時に乗っていたプレミアムは、最初の売却の段階で価格から落ちています。
ここで誤解しやすいのが、「中古なら損をしない」という受け止め方です。中古であっても、業者から中古ぼったくり価格で買えば、購入価格に業者の利益は乗っています。新築との違いは、新築プレミアムという上乗せ分が既になくなっているという点にあります。中古なら損が出ない、ということではなく、損の出方が新築より穏やかになりやすい、という整理になります。
2. 引き渡し直後に査定額が下がる理由
新築ワンルームで多くの方が驚くのが、買って間もないのに査定額が購入価格を下回る、という現実です。これは値引きや業者の意地悪ではなく、評価のものさしが切り替わるために起こります。
「新築」でなくなった瞬間に中古市場の評価へ
新築という状態は、引き渡しを受けて所有者が決まった時点で終わります。一度誰かの所有物になった物件は、たとえ未入居・未使用でも、売るときには中古として扱われます。
中古として売る場合、価格は中古市場のものさし、つまり家賃から逆算する収益還元法で評価されます。投資用ワンルームの査定額は「月の家賃 × 12 ヶ月 ÷ 想定利回り」で概算されるのが基本で、この詳しい仕組みは「投資用ワンルームの査定額はどう決まるか」で解説しています。
問題は、新築プレミアム(業者利益・販売経費・新築という付加価値)が、この収益還元の計算式に入ってこないことです。家賃を生む力は新築でも中古でも家賃の額で決まるため、新築価格に乗っていた上乗せ分は、収益還元では評価されません。引き渡し直後に査定が下がるのは、上乗せ分が評価対象から外れるためです。
下落幅はどれくらいか
「新築でなくなった瞬間に2割ほど下がる」という言い方が業界でよく使われます。ただしこの2割という数字は、エリアや物件によって幅があり、一律にこの幅で下がると決まっているわけではありません。実際には1〜2割程度の範囲で語られることが多く、立地の良い物件ほど下落が小さく、地方や郊外の物件ほど大きく出やすい傾向があります。
いずれにしても、新築価格に乗っていたプレミアム分が、売る側に回った瞬間に評価から落ちる、という方向性は共通しています。
今の査定額を確認する →3. 新築特有の二段階の下落
新築ワンルームには、価格面に加えて家賃面でも下落の要因があります。新築の下落は、次の二段階で進みます。
一段階目:新築プレミアム(価格)の剥落
第 2 章で見たとおり、引き渡しを受けて中古になった時点で、価格の上乗せ分が評価から外れます。これが一段階目です。買って間もない時期に最も大きく影響します。
二段階目:新築プレミアム(家賃)の剥落
新築ワンルームは、新築であることを理由に、相場より高めの家賃を付けられることがあります。ところが、最初の入居者が退去した後は、中古の家賃相場に合わせないと次の入居者が決まりにくくなります。
収益還元法では、家賃が査定額の出発点になります。家賃が下がれば、計算式の分子が下がり、査定額もそのぶん下がります。新築プレミアムで高めに設定されていた家賃が中古相場に戻ると、価格面とは別に、家賃面からも査定額が押し下げられます。
| 段階 | 下がるもの | 影響するタイミング |
|---|---|---|
| 一段階目 | 新築プレミアム(価格の上乗せ分) | 引き渡し・中古化した直後 |
| 二段階目 | 新築プレミアム(高めの家賃) | 最初の入居者が退去した後 |
中古ワンルームには、この一段階目・二段階目の剥落がすでに済んでいる、という違いがあります。中古は新築プレミアムを織り込んでいない価格・家賃で取引されているため、新築のような「買った直後の急な目減り」が起きにくくなります。
4. 中古購入物件でも損は出る
新築の下落が大きいと聞くと、「では中古を買えば損はしないのか」と考えたくなります。ここは丁寧に切り分ける必要があります。
投資用ワンルームは、新築・中古を問わず、業者が個人投資家向けに利益を乗せて販売する商品です。中古であっても、業者から相場を上回る価格で買っていれば、購入価格に業者の利益が含まれています。その分は、売るときに価格から落ちます。
手出しゼロやわずかな手出しで売却できる可能性があるのは、次のような限られたケースです。
- 中古を適正価格で購入した物件:購入価格に大きな業者マージンが乗っていない
- 借入比率が低い物件:自己資金を多く入れていて、ローン残債そのものが小さい
- 値上がりエリアの物件:都心の好立地など、市況で価格が支えられている物件
逆に言えば、中古であっても業者から中古ぼったくり価格で買っていれば、損は出ます。「新築か中古か」よりも「適正価格で買えていたか」「ローン残債が査定額を上回っていないか」の方が、損失の大きさを左右します。中古は新築より損が穏やかになりやすい、というのは平均的な傾向であって、中古なら損が出ない、という保証ではありません。
5. 新築はオーバーローンが大きくなりやすい
新築ワンルームで売却時の負担が重くなりやすい最大の理由は、ローン残債と査定額のギャップ、すなわちオーバーローンが大きくなりやすいことです。
オーバーローンとは、ローン残債が売却価格(査定額)を上回っている状態を指します。この状態で売るには、差額を自己資金で埋める「手出し」が必要になります。新築がこのギャップを抱えやすいのには、いくつかの仕組み上の事情が重なっています。
上乗せ分が大きいぶん、出発点でのギャップが大きい
新築は新築プレミアムのぶん購入価格が高く、その上乗せ分は引き渡し直後に評価から落ちます。中古ぼったくり価格に新築プレミアムが重なる構造のため、買った瞬間に生じる残債と査定額のギャップが、中古で買った場合より大きくなりやすいのです。
フルローンに近い借入で残債が減りにくい
新築ワンルームは、購入時の自己資金がほとんどいらない条件で販売されることが多く、フルローンに近い形で買っているケースが目立ちます。借入額が大きいうえ、投資用ローンに多い元利均等返済では返済初期の元本の減りが緩やかなため、残債がなかなか減りません。
ギャップが大きい状態から始まり、残債の減りも遅い。この二つが重なって、新築はオーバーローンが大きくなりやすくなります。手出し額の購入時期別の目安としては、おおむね次のような幅で語られます。
| 購入時期 | 手出し額の目安 |
|---|---|
| 2022 年以降に購入 | 500〜800 万円 |
| 2020〜2022 年に購入 | 400〜600 万円 |
| 2015〜2019 年に購入 | 200〜400 万円 |
※ 新築または中古ぼったくり価格で購入した場合の典型値です。立地・築年数・借入条件で大きく変動します。
2020〜2022 年は投資用ワンルームの販売価格の値上がりが顕著になってきた時期で、これ以降に新築を買った方ほど、現在の手出し額が大きくなる傾向があります。手出し売却の全体像(手出し額の相場や資金調達の方法)は「投資用ワンルームの手出し売却完全ガイド」で、残債が特に大きいケースの売り方は「ローン残債が多いワンルームの売却方法」で扱っています。
複数の買取業者から査定を取る →6. 売却タイミングの考え方
新築・中古のどちらであっても、判断の起点になるのは「待てば状況が良くなるか」という見通しです。
投資用ワンルームでは、ローン残債は元利均等返済で緩やかにしか減らない一方、査定額は築年数の経過と市況で下がっていきます。残債が減るスピードよりも、査定額が下がるスピードの方が速いケースが多いのが実態です。とくに新築は、引き渡し直後の急な下落と家賃プレミアムの剥落が重なるため、保有を続けるほどギャップが縮まりにくくなります。
「あと数年持てばローンが減って手出しゼロで売れる」という期待は、多くの場合は当たりません。逆に、待つほど必要な手出し額が増えていく、というのが平均的な見通しです。新築だから損が大きいのは事実ですが、それは過去の購入時点で決まったことで、これから取れる行動で変わるのは「いつ売るか」です。早めに正確な査定額を把握して判断する方が、選択肢が広いうちに動けます。
なお、新築・中古を問わず、ワンルームの買主はほとんどが転売を前提とした業者で、査定額は仲介経由でも買取でも大きくは変わりません。違うのは仲介手数料がかかるかどうかで、買取業者へ直接売れば仲介手数料はかかりません。この点は「ワンルームは仲介と買取どちらが得か」で詳しく解説しています。また、業者が物件を仕入れていくらで再販するのかという利益の仕組みは「ワンルーム買取はなぜ安いのか」にまとめています。
7. よくある質問
- Q.新築ワンルームは中古より売却時の損が大きいのですか?
- A.平均的には、新築の方が損は大きくなりやすい傾向があります。新築価格には新築プレミアム(業者利益・販売経費・新築という付加価値への上乗せ)が乗っており、引き渡しを受けて中古になった時点で、その上乗せ分が収益還元法の評価から外れるためです。ただし中古でも業者からぼったくり価格で買っていれば損は出ます。新築か中古かより、適正価格で買えていたか、残債が査定額を上回っていないかの方が、損失の大きさを左右します。
- Q.新築プレミアムはどれくらい下がりますか?
- A.新築マンションの販売価格のうち1〜3割程度が新築プレミアムにあたると言われ、引き渡しを受けて中古になった時点で2割前後下がる、という言い方がよく使われます。ただしこの数字は物件やエリアによって幅があり、一律ではありません。実際には1〜2割程度の範囲で語られることが多く、立地の良い物件ほど下落が小さく、郊外の物件ほど大きく出やすい傾向です。
- Q.なぜ引き渡し直後なのに査定額が購入価格を下回るのですか?
- A.評価のものさしが切り替わるためです。新築は引き渡しを受けて所有者が決まった時点で中古扱いになり、売るときは家賃から逆算する収益還元法で評価されます。新築プレミアムは家賃を生む力とは関係ない上乗せ分なので、この計算式には入ってきません。家賃を生む力は新築でも中古でも家賃の額で決まるため、上乗せ分が評価から落ちて、査定額が購入価格を下回ります。
- Q.新築で買った物件は、家賃も下がりますか?
- A.新築ワンルームは新築を理由に相場より高めの家賃を付けられることがありますが、最初の入居者が退去した後は、中古の家賃相場に合わせないと次の入居者が決まりにくくなります。収益還元法では家賃が査定額の出発点になるため、家賃が中古相場に戻ると、価格面とは別に家賃面からも査定額が押し下げられます。新築は価格と家賃の二段階で下落が進む点に注意が必要です。
- Q.今は新築・中古どちらを買うか迷っています。売却の観点ではどちらが有利ですか?
- A.売却時の損失という観点だけで見れば、新築プレミアムの上乗せ分がないぶん、中古の方が下落の出発点が低く、損が穏やかになりやすい傾向があります。ただし投資用ワンルームは新築・中古を問わず業者の利益が乗った価格で販売されるため、中古でも適正価格で買えなければ損は出ます。購入を検討する段階であれば、その物件の家賃から収益還元法で概算した価格と、提示された販売価格の差を確認しておくと、上乗せ分の大きさが見えてきます。
8. まとめ
新築ワンルームと中古ワンルームの売却時の差を解説しました。要点は次のとおりです。
- 新築価格には新築プレミアム(業者利益・販売経費・新築という付加価値への上乗せ)が乗っており、その目安は販売価格の 1〜3 割程度
- 引き渡しを受けて中古になると、評価が収益還元法ベースに切り替わり、新築プレミアムの上乗せ分は評価から外れる(下落幅は物件・エリアで幅があり、2 割前後と言われることが多い)
- 新築は「価格の剥落」「家賃の剥落」の二段階で下落が進む
- 中古は上乗せの出発点が低いぶん損が穏やかになりやすいが、中古でもぼったくり価格で買えば損は出る
- 新築は上乗せが大きく、フルローンに近い借入で残債が減りにくいため、オーバーローンが深く手出しが大きくなりやすい
新築か中古かは過去の購入時点で決まったことですが、これから選べるのは「いつ・どう売るか」です。判断の最初のステップは、現在の正確な査定額を知ることです。投資用ワンルームの査定額は仲介でも買取でも大きくは変わらないため、仲介手数料がかからない買取業者の査定を複数取って、現在の残債と比べるのが現実的です。
「待てばマシになるか、今動くか」という判断は、感覚ではなく数字で行うものです。まずは複数の買取業者から査定を取り、判断材料を揃えるところから始めるのがおすすめです。
無料で買取査定を依頼する →関連記事
ローン・残債
投資用ワンルームの「手出し売却」完全ガイド!早めに損切りすべき理由とは?
投資用ワンルームの手出し売却(残債 > 査定額のオーバーローン状態での売却)について、手出し額の考え方・資金調達手段・任意売却との違いを解説。
ローン・残債
ローン残債が多い「オーバーローン」のワンルームを売却する方法
ローン残債が査定額を上回る投資用ワンルームの売り方を解説。残債と査定のギャップの把握、埋める3つの選択肢、滞納の有無で通常売却と任意売却に分かれる判断基準までまとめます。
業者選び
投資用ワンルームの査定額はどう決まるか|収益還元法の基礎
投資用ワンルームの査定額は家賃から逆算して決まります。収益還元法の考え方、家賃×12÷想定利回りで概算する方法、想定利回りの決まり方、賃貸中の評価が安定する理由を解説します。
業者選び
ワンルーム買取はなぜ安い?業者の利益の仕組み
投資用ワンルームを業者がいくらで仕入れ、いくらで再販しているのか。収益還元法で価格が利回りから逆算される仕組みと、仕入れと販売の利回り差が業者の利益になる構造を解説します。買取査定額が市場より安くなる理由がわかります。